オス犬を飼う人ならば
必ず選択の時がくる「去勢手術」ですが、
・飼い犬には手術をする、
というのが一般的みたいだけど、
わざわざ健康な体に余計なことをしなくてもいいんじゃないか?
・そもそも、
犬の気持ちなんか考えない、
人間都合の行いなのではないか?
と感じたことがあるのではないでしょうか?
また、調べている中で
「病気予防などのメリットがあるのはわかったけど、
デメリットの部分も結構気になるな」
と感じたり、
「本当に、うちの子には去勢手術は必要なのか?」
と、
なかなか結論が出せないという方もいるでしょう。
実は、
犬の去勢というものに対して、
多くの犬のしつけ・行動学の専門家(犬の心理的なことの専門家)には、
手術をするか、しないかの判断は
家庭犬として健やかな心で生活するために、
とても重要なことだと認識されています。
手術をしているとそうでない犬では、
しつけのしやすさのレベルが全然違うとまで言われているのです。
そこで、この記事では、
手術をするとしないのでは、
どのように犬の心理や行動に影響し、
犬への指導のしやすさ(しつけのしやすさ)が変わっていくのか?
というところに注目して、
犬の去勢への必要性について解説していきます。
自分の愛犬への対応をどうするか考えるヒントにしていただければと思います!
去勢のメリットと、しなかった場合に起こること
ここでは、
・実施のメリット
・手術をしないままの時に起こること
・しつけへの影響
について例と共に述べています。
オス(去勢)〜しつけへの影響
生殖ができる程に成長した後ずっと、
去勢をしないで生きていた場合、
犬にとって、また飼い主にとって、
どんな苦労が待っているのかを、
一つ例にとって紹介したいと思います。
以下の内容は、
人気しつけ教材の『イヌバーシティ』監修・指導者のしほ先生が、
教材の中で話していたことからの一部です。
しほ先生は、
アメリカの最高峰の犬訓練学校でしつけを学び、
愛犬を、ハリウッド映画出演させる程の実力のあるドッグトレーナーさんです。
現在、
しほ先生の経営している、
静岡県のワンコ・ワークスというペットホテル兼しつけ教室があります。
そこでは、
その日預けられた毎日何十頭もの犬たちが、
広い屋内外の敷地で、
大きい犬も、小さい犬も、
分け隔てなくのびのびと過ごしているのですが、
創業後、
ある問題を機に、方針を変えなくてはいけない出来事がありました。
それは、
「未去勢のオスの受け入れ取りやめ」でした。
しほ先生をはじめ、
犬のしつけのプロたちがどんな工夫をしても、
未去勢による、
生理的なもの・生殖本能からくる行動を抑えていくのには限界があったといいます。
ワンコワークスで、
いろんな犬たちが穏やかに過ごしている中で、
未去勢の犬たちは、
支配行動や攻撃行動の繰り返しだったそうです。
他の犬への悪影響はもちろん、
そんな状態では、本人たちもせっかくのステイを楽しめません。
アメリカ屈指のドッグトレーニング学校で犬の訓練を極めた
しつけのエキスパートのしほ先生ですら、
去勢をしていないオスたちを、
穏やかに馴染めるように指導していくのは厳しいという判断をしたのだそうです。
また、
どんな塾練のプロでも、
訓練ではどうにもならない範囲の要素もある、など
他のさまざまな要因に関しても、教材本編では解説してくれています。
※しつけは完全に不可能というわけではないそうなのですが、
一頭一頭、安全だと判断できるまで訓練をするのには、相当大変だとのこと。
上記の例を見て、
「オスの去勢」への大きな意味を感じられたと思います。
オスの去勢手術のメリット
しつけのしやすさの面で、
解決に限界がある問題をなくすことができる、
というのももちろんのこと、
その犬本人がいくらいい子だって、
生殖機能によって自分の意思ではどうにもならない問題を、
抑えて抑えて、
ストレスを溜めて生きていくことがなくなり、
犬自信が、
心身共にのびのびとでき、
穏やかな気持ちで過ごせるようになります。
実際、
しほ先生のワンコワークスでは、
当時、去勢前に預けられた時は、
他の犬にマーキングや攻撃、支配的な行動が止まらなかった犬が、
去勢後に再び預けられた時には、
お友達わんこたちと穏やかに遊んで過ごせるようになっていたのだそう。
この変化は、
「しつけの指導によるもの」ではなく、
「去勢での変化」なのだと、しほ先生は仰っていました。
もちろん、
犬がどんな性格に育つかは、
育て方・しつけ方による影響も多いにありますが、
去勢をしないことで、
無駄にハードルを上げることになるのもまた事実です。
※上で少し紹介した
イヌバーシティの教材本編では、
去勢手術への考え方に関して、
さらに詳しく、
しほ先生のプロの目から見た、
犬への本当の配慮の仕方についての解説を受けることができます。
わかりやすく身に染みるアドバイスがたくさんあって、
飼い主一人一人が、
愛犬の気持ちをきちんと理解できるようになるので、
その分、
犬の育てやすさ、飼いやすさがぐっと上がります。
つい、熱く語ってしまいますが…
私筆者も、
イヌバーシティで真面目に犬の心を学んで
かなり役立っているので、実践者の身からしてもおすすめです。
以下の記事もぜひご参考に!
まとめ:愛犬の去勢手術は、犬が人間社会で健やかに過ごす助けになる
愛犬の去勢手術は、
従来の、古くからのイメージでは
・勝手に繁殖してしまうのを防ぐ
(増えても飼いきれないから)
・発情期でのトラブルを避けたい
(人を巻き込む事故になる可能性があるから)
・病気のもとになるなら取り除いておけばいい
(病気になると高額な医療費がかかるから)
などの、
人間が得られるメリットをただ単に優先したもの、と思われることも多いのですが、
実際は、
犬の心身両方への配慮を十分に考えた行為なのだということ。
例えば、
・本来感じなくていいストレスを、定期的に味合わされなくてよくなる
・本能から引き剥がすことのできない責任感・支配的な行動を和らげることによって、
飼い主というリーダーがきちんと役につくことができる
など、
生体のメカニズムによって、
本来どうにもならないものを、
うまく生活環境に馴染ませることができるようになります。
以上の理由から、
多くの
犬の体の専門家(獣医さん)
犬の心の専門家(ドッグトレーナーさん)
が、
オス犬の去勢手術が
犬が心身共に人間社会の中で暮らすために
大きなポイントになっていると言っている具体的な意味がわかったと思います。
ここで述べた考え方のすじは、
もちろん、あくまで一例ではありますが、
犬の去勢に対して、
今までなんとなくのイメージで
「健康な体にわざわざ何かするのはかわいそう」
「手術後、痛がっている姿を見たくない」
など、
人間ならではの愛情・心配な感情で完結していた方も、
「新しい見方の参考になった」
と感じて下さっていたら幸いです。
何が「愛犬のため」か
最終的に判断するのは、それぞれの飼い主さんですが、
決定打は、
イメージではなく、
十分な知識・情報を集めた上で、
愛犬のための最善策を選択することをお勧めします。
愛犬家歴20年。
現在、愛犬3頭と暮らしています。
今の愛犬たちのしつけに取り組む中で、
犬との関係性の大切さを改めて実感しております!
さらに力をつけるべく、
現在、ドッグトレーナー資格勉強中です。
「一般飼い主目線でほしい情報を
豊富にわかりやすくシェアする」
をモットーに、
日々リサーチを重ねています。
たくさんの飼い主の皆さんと、
犬と暮らすことの楽しみや、
大変だなということも共有できたらうれしいです!
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